Aurora が解こうとしている問題
不動産の住替えは、決定に必要な変数が多く、変数間の相互作用も強い意思決定です。 売却価格は税額に影響し、税額は手取りに影響し、手取りは新規ローンに必要な額に影響します。 さらに金利・借入期間・税制特例の選択(3,000 万特別控除を取るか、買換え特例で課税繰延するか、住宅ローン控除を活かすか)が組み合わさり、 「月いくら変わるか」「総支払額はいくらになるか」を一発で見通すのが難しい。
Aurora は、これらの変数を 1 画面で動かしながら、月次キャッシュフロー・必要ローン額・売却手取り・年次累計支出を即座に可視化します。 「正解の数値」を出すというより、複数のシナリオを比較して自分にとって現実的なラインがどこかを探るための道具です。
入力できる変数
- 売却サイド: 売却坪単価、専有面積、既存ローン残高、取得費(購入価格+取得時諸経費)、減価償却累計、仲介手数料の割引率、長期/短期譲渡の区分、譲渡特例の選択
- 購入サイド: 新規物件の坪単価、専有面積、仲介手数料割引率、司法書士報酬、火災・地震保険、その他諸経費
- 新規ローン: 年利、借入期間、売却手取りの頭金充当割合、追加自己資金
- 月次ランニング: 現居と住替先それぞれの管理費・修繕積立金・固都税、既存ローンの月返済額
- シナリオ種別: 「住替え(売却+購入)」と「新規購入のみ(売却なし)」を切替可能
出力される情報
- KPI カード: 売却手取り、必要新規ローン額、月次キャッシュフロー差分、新ローン月返済額
- 売却サイド内訳: 売却価格から仲介手数料・印紙税・譲渡所得税・既存ローン完済を差し引いた手取りの計算過程
- 購入サイド内訳: 物件価格に取得時諸経費(仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、印紙税、司法書士報酬、火災・地震保険、その他)を積み、売却手取りと追加自己資金を差し引いて算出される必要ローン額
- 月次キャッシュフロー比較: 現状継続と住替後の月次支出の項目別比較と差分
- 感応度ヒートマップ: 売却坪単価(または購入坪単価)× 新ローン金利の組合せに対して、指標(月次CF差分/必要ローン額/売却手取り/住替後月次合計)がどう動くかを色で表示
- 年次累計支出チャート: 現状継続と住替後で、t 年経過時点までの累計支出を比較
税制の取扱い
譲渡所得税
不動産を売却して利益(譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 − 減価償却累計)− 譲渡費用)が出た場合、所得税・住民税・復興特別所得税が課税されます。Aurora では以下の税率を採用しています。
- 長期譲渡(保有 5 年超): 20.315%(所得税 15% + 住民税 5% + 復興特別所得税 0.315%)
- 短期譲渡(保有 5 年以下): 39.63%(所得税 30% + 住民税 9% + 復興特別所得税 0.63%)
保有期間の判定は「売却した年の 1 月 1 日時点で 5 年を超えているか」が正式な基準ですが、Aurora ではトグルで長期/短期を切り替える簡易設計にしています。
居住用財産 3,000 万円特別控除
自宅を売却した場合、譲渡所得から最大 3,000 万円を控除できる制度(措置法 35 条 1 項)。Aurora では「3,000 万特別控除」を選択すると、課税譲渡所得 = max(0, 譲渡所得 − 30,000,000) で計算します。
特定居住用財産の買換え特例(課税繰延)
要件を満たす自宅を売却して新居に買い換える場合、譲渡益への課税を将来に繰り延べる特例(措置法 36 条の 2)。Aurora では「買換え特例」を選択すると譲渡所得税を 0 として扱い、注記に「課税繰延(将来の売却時に課税)」と表示します。実際の適用には複数の要件(保有期間 10 年超・居住期間 10 年以上・買換え資産の面積要件など)があるため、結果は概算として読んでください。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
新規購入の住宅ローンに対し、年末残高 × 0.7% を 10〜13 年にわたり所得税・住民税から控除する制度。Aurora では中古住宅一般のケースを想定し、対象残高の上限を 2,000 万円として年額を概算で算出しています(年額 = min(借入残高, 2,000 万) × 0.7%)。
重要な制約: 居住用財産 3,000 万円特別控除と住宅ローン控除は 併用できません。Aurora ではこの制約を自動で反映し、3,000 万特別控除または買換え特例を選択している場合、住宅ローン控除を 0 として扱います。どちらを取るかは譲渡益の大きさ・ローン残高・控除期間によって最適解が変わるため、両パターンを切り替えて比較できる設計にしています。
取得時諸経費(購入側)
新規購入時には物件価格に加えて、以下の諸経費が発生します。Aurora では概算式で自動計算しつつ、固定額のものは編集可能にしています。
- 仲介手数料: 物件価格 × 3% + 60,000 円(消費税込み、割引率で実質値を調整可能)
- 印紙税: 契約金額に応じた段階別の軽減税率(〜2027/3/31 適用、国税庁 No.7140 準拠)
- 登録免許税: 中古住宅軽減税率を採用。所有権移転は評価額 × 0.3%、抵当権設定は借入額 × 0.1%
- 不動産取得税: 中古住宅軽減(建物の 1,200 万円控除と土地の 1/2 控除)の簡易版
- 司法書士報酬: 既定 150,000 円、編集可
- 火災・地震保険一時金: 既定 120,000 円、編集可
- その他諸経費: 修繕積立基金等を見込んで手入力
評価額は 取引価格 × 0.7、土地比率はマンションで 0.25 と概算しています。実際の評価額は固定資産税課税明細書で確認できる値で、地域や物件によって異なります。
キャッシュフローと感応度の読み方
月次キャッシュフロー比較では、現居の月次支出(既存ローン返済+管理費+修繕積立金+固都税の月割)と、住替後の月次支出を項目別に並べます。住替後の住宅ローン控除は月割で月次合計から差し引かれた状態で表示されます。差分が正なら住替えで月の出費が増える方向、負なら減る方向です。
感応度ヒートマップは、現在入力している値を中心に売却坪単価(または購入坪単価)を ±3 ステップ、新ローン金利を ±2 ステップ振った時に、選んだ指標(月次CF差分など)がどう動くかを色で表示します。緑寄りが望ましい方向、赤寄りが避けたい方向です(指標によって向きは自動で反転)。
年次累計支出チャートは、t 年経過時点までの「累計の自己負担額」を比較します。住替後は t=0 に「物件代+諸経費から借入を除いた自己資金の純流出」が計上され、以後は月次合計 × 12 が毎年積まれます。現状継続は売却を伴わないため t=0 は 0 から始まります。両線の交点があるとすれば、住替後の方が長期的に有利になる年数の目安として読めます。
扱っていないこと・簡略化していること
意思決定の論点を絞り込むため、以下は意図的に簡略化しています。実際の判断ではこれらの要素も確認してください。
- 現居の住宅ローン控除: 現居側でローン控除が残っている場合の月次差分への寄与は、適用期間・年末残高・所得税残額など個別性が高いため、モデル化していません。月次CF差分は「現居の控除を考慮しない場合の上限見積」として読んでください。
- 変動金利のシナリオ: 新規ローンは固定金利相当の元利均等返済で計算しています。変動金利のリスクは、ヒートマップで金利を上下に振って確認するのが近似になります。
- 住宅ローン控除の逓減・繰上返済: 住宅ローン控除は年末残高 × 0.7% を毎年同額で表示しており、残高の逓減や繰上返済の効果は反映していません。
- 譲渡損が出た場合の損益通算・繰越控除: 売却損が出た場合の他所得との通算・繰越は扱っていません。
- 修繕積立金・管理費の値上げ: 月次ランニングは現在値で固定し、将来の値上げは考慮していません。
- つなぎ融資・住み替えローン: 売却と購入のタイミングが重なる場合のつなぎ融資費用は別途見積もりが必要です。
- 火災保険・地震保険の長期/年額の違い: 既定値は 5 年契約一時金相当として概算しています。
免責
Aurora の計算結果は、運営者が公開時点の理解に基づき可能な範囲で正確性に配慮したものですが、税制・金利・市場実態と完全に一致することを保証するものではありません。 個別の意思決定にあたっては、税理士・ファイナンシャルプランナー・金融機関等の専門家にご相談ください。 本ツールの利用により利用者が被った損害について、運営者は責任を負いません。
改善要望
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